NST専門療法士は、病院等にある栄養サポートチームの構成員となり、栄養問題を抱える患者に静脈栄養や経腸栄養などの栄養療法を施す専門家だ。NST専門療法士になるには、資格試験に合格することが必要である。医療現場で活躍する看護師や薬剤師を始め臨床検査技師や言語聴覚士など様々な職種の職員が、栄養療法に関する専門的スキルを身につけるため、この資格を目指している。こうした様々な職種のメンバーがチームを構成し、協力し合いながら患者の疾病の治療に専念しているのだ。

NST専門療法士の資格を持たない管理栄養士も、栄養療法に携わることはできる。しかし、この資格を取得することにより、更に高度の知識とスキルを得られるので、資格取得を目指す管理栄養士は少なくない。NST専門療法士は、患者に必要な栄養素の勘案だけに専念するのではない。個々の患者の嗜好や生活習慣なども考慮して、療養生活全体の質を向上することを目標としている。

そこで、個々の患者の年齢や性別に加え体格や病状などを考慮に入れて、患者の栄養状態を総合評価し、不足がちな栄養素の補給方法を立案し治癒までの栄養摂取計画を立てる。さらに、患者の嗜好に応じて献立を変更するだけでなく、歯ごたえや舌触りなどの食感を好みに合わせて調整し、嚥下や咀嚼の能力に合わせて刻んだりトロミを付けたりするのだ。このような栄養療法は常にチームで行われ、メンバーは栄養サポートチームのカンファレンスを欠かせない。また、頻繁に栄養サポートチームで回診をして、患者の反応を確認しながら個々の患者に最適な栄養療法を模索しているのだ。